米国では、尻尾(金融)が犬(実体経済)を振り回しています。
前代未聞の金融緩和によって金融相場を作り出し、
資産高効果によって消費を刺激しました。
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米国株式市場の急落は終わりの始まり
上がり続ける相場はなく、必ず下げる時期があります。
昨日の米国市場は急落でした。
以前から言っていることですが、金融相場は落ちる時は
急落になります。落ちてから対応するのは難しく、事前準備が
重要です。
米国QE3の延長
9月のFOMCで米国のQE3縮小が見送られた。債務上限枠拡大を巡る
大統領と下院共和党の対立で米国政府債務のデフォルト懸念が起こっている。
この混乱の最中にQE3縮小は相場へのダメージが大きすぎることもあった
ようだ。
次期FRB議長がQE肯定派のイエレン副議長で決まったことを考えると、
QE3はかなり延長される可能性が出てきたと思う。
そうなると、債務デフォルトが決着すると、過剰流動性が継続するため、
金融相場が続くだろう。それはバブル化の危険がある。
実体経済の回復が緩慢な状態で、過剰流動性が続くと、金融商品の
価格は需給状態とかい離してくる。つまり、バブル化だ。
雇用・所得は低迷しているにもかかわらず、過剰流動性による価格上昇
が実体経済にも波及すると、スタグフレーションとなる可能性がある。
そこに至ってから引き締めると非常に怖い。
本来は、QE3で支えている間に財政出動して景気回復を加速させる
べきだったのだと思う。QE3縮小前に雇用・所得が回復し、不良債権の
処理が進んでいることがベストのシナリオだったはずだ。
なぜマネタリーベースに注意するのか?
最近は金融緩和のせいで、マネタリーベースは全員の注目を集めるようになりました。 しかし、投機に回るお金が増えて金融相場になる事が注目されているだけで、不十分な見方だと思います。
お金の流れは次のようになっています。
中央銀行
↓
通貨供給(マネタリーベース)
↓
金融機関→余剰資金→金融市場(金融相場:思惑)
↓
融資:徐々に増加
↓
民間企業・個人=実体経済へ浸透
中央銀行がマネタリーベースを増加させても、すぐに実体経済に流れ込みません。一度、銀行(金融機関)に入り、融資などを通じて、民間企業や個人に貸し付けられ、実体経済に流れていきます。
融資などの貸し付けは徐々に増加するので、当初はお金が余る状況が起こります。この余剰分は金融市場に流れ込みます。金融市場は、思惑による先取りが起こります。そのため、余剰分が流れ込む前から金融相場は始まっています。
一方、実体経済へは徐々にお金が浸透するので、影響が出てくるのは1年から2年かかります。経済規模の大きい国ほど影響は遅れて出てきます。
金融緩和をしても景気が良くならないと発言する人がいます。これは実体経済の遅行性を意図的に無視しているか、理解していないのだと思います。
欧州危機にもかかわらず、去年から米国景気が割と良かったのは、減税とともに、QE1の効果だと思います。
日本の場合でも、金融緩和を実施すると、平均1年半後に名目GDPが上昇します。 (日銀は金融緩和は効果がないと言ってますが)
前者の金融相場は影響が先取りして出てくるため、多くの人間が見ています。一方、後者の実体経済へは遅れて出てくるため、注目する人は大幅に減ります。
しかし、前者の金融相場には実体経済の裏付けがないため、資金の流入が鈍る可能性が見えてくると急に崩れます。 いわばハリボテ相場です。
むしろ、後者の実体経済への影響こそが本物でしょう。少数派を目指す我々は、それに注目して行動するのが本筋だと思います。
投資では、先手をとることが重要です。マネタリーベースの実体経済に対する影響に注意を払うことは、非常に重要な意味を持っていると思います。