米国マネタリーベース動向(9月)

QE3の実施後、半月を経過したが、9月の米国マネタリーベースは増加傾向ではなかった。


むしろ、前年同月比は-1.6%で前月より若干低下した。
しかし、QE3による増加はいずれ現れる。そこから金融相場が再スタートを切るだろう。

QE3はMBSに焦点を絞っているので、住宅販売動向、 住宅価格動向に効果が現れるのか注目である。

住宅販売、住宅価格にプラスの影響が出てくると、金融機関の抱える不良債権が減少することになる。そうなると、バランスシート不況の調整が進み、経済の正常化が早まる。

ただし、QE3には副作用があり、プラス効果が出る前に副作用が大きく出てくることも考えておかねばならない。両方のシナリオを考えたポートフォリオにしておくべきだ。

米国の雇用は回復基調

先週、米国の雇用増加数が市場予想より 少なく、マーケットはネガティブに反応し、
QE3実施の理由にもあげられました。

本当にそれほど深刻な状況なのでしょうか?
失業率は8.2%と通常の不況時より高く、 雇用の増加ペースはここ数カ月は鈍って います。しかし、民間部門の米国雇用の状況を見て みると、一貫して回復基調が続いています。

現在は、半分程度まで回復しでいます。 あと3,4年で元の水準に戻りそうな感じ です。
一方、政府部門の雇用は減少傾向です。

米国は

●民間が回復半ば
●政府は財政削減中

というのが正確な認識だと思います。

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このまま米国経済はリーマンショック前の 状態まで回復するのでしょうか?
鍵を握るのは、大統領選挙でしょう。

オバマ政権は民主党政権なので、財政支出を 増加させ、民間部門の落ち込みを補う政策を 進めようとしていました。

しかし、議会多数派の共和党が財政再建を 進めるように主張し、オバマ政権の法案が 成立しません。

結局、財政再建路線をしぶしぶ進めている 状況です。
オバマ再選なら、共和党に配慮しつつも、 最低限の財政支援を続けるでしょう。
その 結果、回復基調は継続すると思います。

しかし、政権が共和党に交代すると、政策が 大幅に変更されます。一気に財政再建へ舵が 切られる可能性があります。

金融緩和派のバーナンキ議長を再任せず、 金融引締め派のFRB議長になる可能性が
あります。

民間部門が回復半ばで、金融と財政が共に 引締めとなると、米国経済がデフレ危機に
落ち込む恐れがあります。

民主党オバマ再選か、共和党ロムニーへ 交代かは非常に重要です。

米国経済がデフレに沈めば、日本も引きずり 込まれるのはリーマンショックの時に経験
済みです。

我々にとっても11月初めの大統領選挙は 重要だということです。
結果によっては、 第三の危機に備える必要があります。
QE3実施は、第三の危機をを避けるため だったのだと思います。